トンチキな世界に浸りたくなったときに

 山田風太郎柳生十兵衛三部作を、発作的に読破しています。いつ読んでも超絶展開に脳のギアチェンジが一瞬遅れる『柳生十兵衛死す』はかっこよすぎる。石川賢の漫画版もかっこよすぎる。アレは知ってる奴らが三人集まれば一晩中語り合える。四人だったならば麻雀しながらの話題になること必須。

 それにしても――山田風太郎でも、隆慶一郎でも、荒山徹でも、大地丙太郎でも、誰が語れどもチートを疑われるほど柳生十兵衛は強いです。史実に存在する剣客で十兵衛に勝利した奴っているのかよって勢い。

 そこここで兄弟に負けたり師匠に吹っ飛ばされたり爺さんにボコられたり、地道に敗北ポイントを稼いでいたりするんだけど、短編でサラッと負けてることが多いんで、なんか勝ちの印象メインですよ。アイツにまともに戦って勝てる奴は、大概作者オリジナルの超戦士なんじゃないかと思うくらい。そうね、陸奥さんちのタカトさんなんかすぐ思いつくけど。

 まあ実在してんのが胡散臭いほどにキャラが立っているので、時代劇で剣戟やるとなったら主役級のアクは勝手ににじみでちゃうんだろうなあ十兵衛の奴ぁ。隻眼で逸話に事欠かない剣の達人、このくらいでも結構おなかいっぱいになれちゃう。

 十兵衛に限らんでも、時代物の作品はどいつもこいつもとりすました顔をして、肉喰って酒飲んでる奴らの法で書かれたものがすごく多い。そろそろ読んだら癒される時代物が来ると信じているけど、とりあえず電撃G’Sマガジンあたりが提携しないと無理そうね、そんなん。

 あー、時代物は美人って言われても想像しにくいのかも。いるんだよいっぱい。ただ表現が淡白だったり美人よりモノノフの方がキャラ立っちゃうだけなんだ。

 最近の一押しはY十Mのおゆらの方さま。

 ウォッカを見つけるロシア兵なみの集中力で凝視。