その日TRPGを遊ぶ場所は、畳敷きの友達ん家。ちいとばかし畳がうねりはじめちゃいるが、何度となく戦いの舞台となったロケーションとして、かえって凄みを増してらあ。情念こもったサイコロどもの思念すら感じるぜえ。頑丈なテーブルの上には戦闘の跡がナマナマしい。ざまみろブラックにぬらりと光る10面体が転がっている。
 私は唸っている。
 ついさっき堕ちた殺神司祭のことで? いや違う。確かに20面体一つ、10面体7つ振って32を削りきれなかったのは痛恨の一撃だったが、あれはアレでアリだ。
 次に使う予定のPC1だ問題は。
 立ち位置としちゃ、悪の道をひた走り魔神召還を目論む姉ちゃんを倒せ――ってんだが、どうにもその姉ちゃんがイケナイ。いや実にイケナイ。だんびらこそ振らないが正気の琴線かき鳴らして病まぬヤンデレ美女ってあーた、私の広角打法の前にはジャストミートも甚だしい。倒す理由が見つからん。
 ――そうさな。シラカワさんちのグランゾンよろしく、あえて魔神を呼び出させて、魔神に真の死を馳走するか。あの姉ちゃんが死後、魔神の贄になるたあちと許せん。広い意味では人々のためにも戦えるし、これでいってみよ。スパロボEXのシュウ編っぽい感じでな。そうなると少しばかり周りには嘘ついてすごさなあかんべ。じゃあ言霊使いにしよう――サラサラっとな。よし、オッケーオッケーいってみよう。どんとこいやあGM。

 エミリアパステルナーク。不肖、今回の自キャラだ。野郎より姉との対立理由を拵えやすい女性にした。
 ――結論から言や、今回はPC1に相応しくない動きとなっちまった。オープニングのダレっぷりときたら、はき古したパンツのゴムのよお。はあ、それにしたって自身の未熟さよ。PC1が他PCにからんでもらえんよー。姉ちゃんくらいしか、わざわざサシのシーンで話しかけてくる相手がいないー。ひゅるるー。魔印! 家族殺しの宿命! 奪われた故郷! 設定には申し分無いPC1なんだけんど無理もない。PCはどいつもこいつも魔神と戦う理由があるから、極端な話PC1がおらんでも話に問題はないのだよー。まさにバーンナウトPC1。殺戮者落ちを期待されそうな勢い。殺戮者落ちは絶対に無いよー。(私信)
 ――さて、私は唸っている。次はどうしたもんか。
 姉ちゃんをどうやって止めるかは決まっている。要するに理由だ理由、倒す理由はなんだ? 無辜の民のためか? 姉の罪を償うためか? 魔神への敵愾心か? コンラッドに言われたからか? ともかくそれは大丈夫だ。
 他PCとどう絡むかなんだよな。みんなは騎士と魔術師と賞金稼ぎと宗教家。これはもうプロの集団ってことで、こちらもプロとして関わるか。よし、アングルスも入れてプロの医者やってることにしよう。回復ならば誰にも負けない――さらさらと。よし、これならば!