ヤキイモと聞いたとき、とっさに浮かぶ焼き芋のイメージが他人と一致するかどうか?
 ヤキイモは加熱時間によってまったく色合いが変わってしまう。普通に電子レンジなどで作ったり、ふかしたりした場合と、上手な石焼き芋屋とか焚き火の灰で作った場合では、なんかもう全然味違う。前者は黄色みが強く皮がまだしっとりしている事が多い。後者は内部が瑞々しく繊維質がそのまま形になったようなほぐれやすい感じになり、皮との接触部のあたりは柿色にちかい焼き色がついている。こうなるともう凄い。何が凄いか?
 美味い。とにかく美味い。
 後者のヤキイモの甘さ美味さときたら、前者とは比べ様もないったらありゃしない。道すがらなんとなく買った石焼きイモがそんなに美味かったのは初めてだったからもはや衝撃というにやぶさかでない感情の奔流、思わず足が止まった。こういう焼き芋を食ったのは何年ぶりだろうか? いやまったく、善哉善哉。