時計を見つめると、その短針は数度しかずれていなかった。
 否。
 一回り、したのだ。
 舌打ちとともに、濃いめの伊右衛門を飲み干す。単純作業に要求されるのは、ただひたすらに自身の行動、そのものに意味があると信じる胆力に過ぎぬ。
 ……とは、いえ。
 もうクリア済みのメタルサーガで、全ての衣装を全てのキャラに送りつけた。やることなど最早無い、と、そう信じていた。
 気づいてみれば。
 ――画竜点睛を欠く、とでも言おうか。
「あれ? ヒロインと結婚してねえ? オレ」

 ……痛恨であった。
 普段ツナギばかり着てるとのたまうメカニックは、その言に恥じずまったく普段着に着替えるそぶりも見せない。
 隣のバーで親父の仕事を手伝う幼馴染は、そもそも私室に戻らない。
 ナゼに。
 おまいらはメイド服やら巫女やらバニーやらチャイナやら、キワモノすらへーキで纏うとゆーのに。
 普段着に――ならんのだ。
 

(続きませんて)