時はさらに遡る

 学校でAOやらなんちゃらに受かった新入生予定組を毒気に当ててやれ、というイベントがありました。いつのまにかメインの一人に組み込まれていた私。当日、なめられたらあかんねんと和服の上にトレンチコートを羽織り、一本歯の下駄で闊歩。
「こういう人がいると思ってこの大学受けたんですよ」
「こういう人が社会にはなかなかいなくて」
 ち、逆に喜ばせちまった。
 しょうがないのでフィールドワークについて説明。
「島根と山口のあたりではコンビニで砥石が売っています。ほかにも鉄の叩いた音だけで品質を見分けるソムリエが居る地域でして、休日などソムリエご自慢の玉鋼を鍛造するのが一家のレジャーの基本形。向こうでは着メロに鍛冶屋サウンドが大人気」
 ――ホラ吹いてもかまわんと先生に許可はとっていたものの、果たして何人が騙されてくれたのか疑問が残ります。むしろ俺の存在をホラと認識しかねんな、これは。
 結果として十分毒気に当てたのでおっけー。ジャッ!